ようこそ! ソウルのパラム~風~ 2024年12月22日(日) 00:37 JST

時の人~Ⅰ~《東野 圭吾氏》

《東野 圭吾氏》

2006年の初夏のソウルで、彼の名前を初めて聞いた。
何度聞いても聞いても私には覚えにくい名前であった。
当時、同僚で韓国人の日本語教師である若い彼女は
留学せずして日本語原文の本や社説を理解する能力があった。
(外国人にとって漢字とかな混じりの"文章"を読み理解は極めて困難)
彼女から東野圭吾氏の本を数冊買って来て欲しいと依頼され~
帰国時に買いに行った。
今の様に~ 書店入口の平積みコーナーはなく…

それぞれの決められた場所にあった一冊一冊を
5~6冊購入して渡韓した。

お恥ずかしながら…私は読書が苦手、いや嫌いだった…。
読みたくもない課題図書を読まされてから~
単純に、本の類を全く読まなくなった…(/_\;)
彼女に本を渡す前に…ふと「 手紙 」という一冊を読んでみた。
こんな私が、あぁっと言う間に一日で読み終えてしまった。

不思議な事に…私は文章下にある、彼と私と共通する何かを感じた…。

二冊目「 白夜行 」P854頁位を二日半で読み上げた…
そして私は彼に溺れた…。
三冊目「 容疑者X の… 」 四冊目「 秘密 」 五冊目…六冊目…
とうとうお土産の本を全部読み…
同僚へは渡韓して約一週間後に渡した(;^_^A      

東野圭吾氏と私が小中学生の時、生活領域が重なっている事がわかった。
同じ区域に住んでいた。遊んでいた。
もし…私が地域の中学校に通っていたら~
東野氏の四年下の後輩であった…。
東野氏と私との共通点は幼少に住んだ町だった。

彼が見て育った町と私が見てきた町が共通だと思ったのが
「 白夜行 」であり…その主人公の年齢設定が私と同じであった。

東野氏の初期作品には共通な何かがある。
私にはstoryを超えて…彼の深底にある思いを感じる…。        

表現しにくい…が…あえていえば…
「 哀しさ・悲しさ 」
「 切なさ 」
「 どうしようもない…現実を受けとめるしかない… 」
「 …… 」
とでも著しておく。

私は…東野氏の作品に~
いや~圭吾氏に恋をしていたかもしれない…。
彼の作品を短期間で、20冊以上は読んだと思う。
ソウルで周りの友人に
" 東野圭吾氏に会いに東京の出版社に押し掛けるぅ~んだ!"
と叫んでいた ~)^o^(~ホントにそうする勢いだった。

2008年の初夏…彼のエッセイ
たぶん最後の御挨拶 」 を偶然見つけた、迷わずに買った。
そこには、私が会いたい東野圭吾氏はいなかった。
東京の超人気作家 「 東野圭吾様 」 がいた。
あんなに熱かった思いが…
しゃぁ~と急速冷却していくのがわかった…。

2008年11月28日、私は東京品川プリンスホテルにいた。
ホテルは映画館と小劇場が隣接していた。
映画館に行くのに小劇場の前を通ると人々の行列…
並んでいる人に…何があるのかと聞くと…
一日だけの作家達による演劇の招待プレ公演だという。
ポスターに東野圭吾氏の名前があった…これには驚いた。
数メートル先に彼がいる!
しかし~冷めた私がそこにいた。
ポスターにある彼の名前に手をあて…別れを告げた。


次の日に小劇場の前を通ってみたら~がらんとしていて、ポスターもなかった…。
今、読み進まない文庫本 「 時生 」 を持ち歩いている。